音楽

ココロコ『Could We Be More』UKアフロジャズバンドがデビュー

ココロコ(Kokoroko)の『Could We Be More』は「アフロビート&ハイライフ、UKジャズ、ソウル&ファンク」の融合を堪能できるデビューアルバムです。

はじめに


2014年結成、UKロンドンを拠点に活動する8人組アフロジャズバンド、ココロコ。
バンド名の「Kokoroko」は、ナイジェリアウルホボ語Urhobo)で「強くあれ」という意味です。
https://twitter.com/kokorokomusic/status/1556232582945292296

バンドリーダーのシーラ・モーリス・グレイら女性3人による、フロントのホーン(&ボーカル)隊と、弦楽器、鍵盤、打楽器の男性5人による8人編成。
UKジャズに、フェラ・クティFela Kuti)由来のアフロビートハイライフ(西アフリカのポップス)、ソウル、ファンク、カリブ音楽カリビアンミュージック)などを融合したサウンドを、アシッドジャズのキーパーソン、ジャイルス・ピーターソンGilles Peterson)主宰のレーベル<ブラウンズウッド・レコーディングスBrownswood Recordings)>からリリースしています。

【Live】We Out Here: Online & On Air

Could We Be More


デビューアルバム『Could We Be More』(クッド・ウィ・ビー・モア、意味:もっとできますか、2022年8月5日、Brownswood Recordings)は先行シングル3曲を含む、全15曲・約49分。
曲作りは8人全員で行い、リトル・シムズLittle Simz)の4thアルバム『Sometimes I Might Be Introvert』(2021年9月3日)も手がけたマイルス・ジェイムスMiles James、Miles Clinton James)がプロデュースしました。
最先端ジャズと多彩なルーツのクロスオーバーによる独自のサウンドを堪能しましょう。

【1】Tojo


ヨルバ語で「気をつけて(Take care)」という意味の「Tojo」。
シンコペーションの効いたアフロビートと重低音のベースに、ソウルフルでファンキーなホーンやギター、アンビエントなシンセが重なり、Gファンクっぽい華やかなオープニングを飾っています。

【Live】Rhythm Section with Beefeater

【2】Blue Robe (pt.i)


「Blue Robe」は2曲目「パート1」(30秒あまり)とラスト15曲目「パート2」(30秒弱)の2回に分かれています。
バンドリーダーのシーラ・モーリス・グレイと共にココロコを結成した、オノメ・エッジワースのパーカッションのみ。
インタールード(間奏曲)っぽいものの、ポリリズムの妙を堪能できます。

【3】Ewà Inú


ヨルバ語で「内面の美しさ(Inner beauty)」という意味の「Ewà Inú」。
ファンクとジャズと電子音楽が共存する美しい世界観が展開されています。

【4】Age Of Ascent


第3弾シングル「Age Of Ascent」(2022年6月7日)。
曲名はジョン・コルトレーンJohn Coltrane)のアルバム『Ascension』(アセンション1966年2月)やフリージャズ即興演奏へのオマージュでしょうか。
あるいはスピリチュアルな意味合いも含まれるのかもしれません。
スカっぽいスネアとハイハットのビートが印象的なメロウチューンです。

【5】Dide O


ヨルバ語で「立ち上がる(Get up)」という意味の「Dide O」。
スウィングするギター、タイトなドラム、ムーディーなホーン、ファンキーなベース、ホーン隊の女性3人とギターのトビ・アデナイケによるボーカル(アルトサックスのキャシー・キノシがリードボーカル)などが心地いいハイライフチューンです。

【6】Soul Searching


アナログ盤ではA面のラストを飾る「Soul Searching」。
「アフロビート&ハイライフ、UKジャズ、ソウル&ファンク」という3本柱のうち、B面では魂というか、ソウルミュージックの探求を深めていく、という宣言のようにも感じられます。

【7】We Give Thanks


第2弾シングル「We Give Thanks」(2022年3月18日)。
ホーン隊3人のボーカル、リチャード・オラトゥンデ・ベイカーRichard Olatunde Baker)のトーキングドラムも加わり、感謝を捧げる祝祭みたいな様相を呈してきました。

【8】Those Good Times


「Those Good Times」でも、ホーン隊3人&トビ・アデナイケの魂のこもったボーカルが展開されています。

【9】Reprise


30秒弱の「Reprise」(独:レプリーゼ、仏:ルプリーズ、意味:繰り返し、再現部)。
1曲目「Tojo」のシンセが再構築されているのでしょうか。

【10】War Dance


トランペットもうなる「War Dance」。
緊張感のあるアンサンブルとサイケデリックロック調のギターソロが印象的です。

【11】Interlude


約2分の「Interlude」(インタールード)。
シーラ・モーリス・グレイのフリューゲルホルン、ヨハン・ケベデのキーボードのほか、パーカッションのオノメ・エッジワースがボーカルとプロデュース、プロデューサーのマイルス・ジェイムスがシンセを担当しています。

【12】Home


アルトサックスのキャシー・キノシがリードボーカルを務める5曲目「Dide O」(4分あまり)に戻ってくる「Home」(2分あまり)。
優しい歌声に癒されます。

【13】Something’s Going On


第1弾シングル「Something’s Going On」(意味:何かが起きている、2022年2月8日)は、マーヴィン・ゲイMarvin Gaye)の代表曲「What’s Going On」(1971年1月20日)へのオマージュでしょうか。
8人のメンバー全員がボーカルも重ねていて、3人がコーラスとハンドクラップで加わっています。

【Live】Jazz sous les pommiers 2022

https://youtu.be/brPXQdEA2ps

【14】Outro


13曲目「Something’s Going On」の「Outro」(アウトロ)です。

【15】Blue Robe (pt.ii)


2曲目「パート1」に続く「パート2」で締めくくられます。

おわりに

ココロコは楽器演奏、ボーカル、グルーヴ、サウンドの多様性など、何もかも上質で、最先端のUKジャズシーンを牽引するグループのひとつですが、デビューアルバム『Could We Be More』はハイライフ色が強く、ポップなさわやかさが特徴的といえるでしょう。
それぞれの楽器をじっくり聴き込んで音楽のおもしろさに没入することも、ジャズフュージョンっぽく日常的な背景に溶け込ませることも可能です。
どのような問題が起きても、怒りや悲しみといったネガティブな感情に浸るのではなく、ポジティブに立ち上がるパワーが込められた強いサウンドになっているのではないでしょうか。
内面の美しさを保つ音楽として、さまざまなシーンでお役立てください。

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渡辺和歌
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