音楽

ベッカ・スティーヴンス&アタッカ・クァルテット『Becca Stevens | Attacca Quartet』

ベッカ・スティーヴンスとアタッカ・クァルテットの『Becca Stevens | Attacca Quartet』は、既存曲の新たなアレンジにスポットが当てられたコラボアルバム。
多彩な編曲による、卓越した歌声と弦楽四重奏を堪能しましょう。

はじめに

ベッカ・スティーヴンス


1984年6月14日生まれ、米ノースカロライナ州ウィンストン・セーラム出身のベッカ・スティーヴンスはジャズ、フォーク、インディーロックバロックポップ(チェンバーポップ)などの要素を取り入れたSSW&ギタリスト
リーダーを務めるベッカ・スティーヴンス・バンドBecca Stevens Band)、ジャズSSWグレッチェン・パーラトGretchen Parlato)とレベッカ・マーティンRebecca Martin)との3人組ユニットのティレリーTillery)、ソロ名義のほか、インストアンサンブルのスナーキー・パピーSnarky Puppy)、UKのSSW&プロデューサーのジェイコブ・コリアーJacob Collier)などとのコラボでも活躍しています。

アタッカ・クァルテット

  • 左→右:エイミー・シュローダー、ドメニク・サレルニ、アンドリュー・イー、ネイサン・シュラム

2003年に米ニューヨークのジュリアード音楽院の学生4人で結成された、アタッカ・クァルテット。


本作品にも参加し、現在は退団しているバイオリン奏者・徳永慶子さんが在団中に、アルバム『Caroline Shaw: Orange』(2019年4月)で第62回グラミー賞(2020年)最優秀室内楽・小編成アンサンブル・パフォーマンス賞を受賞したことでも話題になりました。

Becca Stevens | Attacca Quartet


先行シングル2曲を含む本作品は、国内盤(Core Port)CD(2022年3月23日)とデジタル(2022年4月22日)が全15曲(うちボーナストラック1曲)・1時間5分あまり、輸入盤CD(2022年4月22日、GroundUP Music)が全15曲(うち別のボーナストラック1曲)。
ベッカ・スティーヴンス(以下、ベッカ)とアタッカ・クァルテットのビオラ奏者ネイサン・シュラム(以下、ネイサン)の出会い(2014年)がきっかけとなり、2人の結婚(2017年9月)や4年がかりの録音作業を経て完成しました。
オリジナルなどの既存曲をさまざまな人がリアレンジする」というコンセプトを堪能しましょう。

【1】Be Still (arr. Liam Robinson)

1曲目「ビー・スティル」の編曲は、ベッカ・スティーヴンス・バンドの鍵盤奏者リアム・ロビンソンが手がけました。

Be Still


本作品にはベッカ・スティーヴンス・バンドのアルバム『Perfect Animal(2014年10月)から計4曲が取り上げられていて、「ビー・スティル」の原曲は4曲目に収録されています。

【2】Reminder (arr. Bill Stevens)

ベッカの兄でマルチ奏者のビル・スティーヴンスは2曲目「リマインダー」、12曲目「ウイ・ニュー・ラヴ」の計2曲の編曲のほか、プロデュース、レコーディング、ミックスも手がけました。

Reminder


原曲は『Perfect Animal』の8曲目に収録されています。

【3】Canyon Dust (arr. Stephen Prutsman)

3曲目「キャニオン・ダスト」、14曲目「トラヴェラーズ・ブレッシング」の計2曲の編曲を手がけたピアニスト&作曲家のスティーヴン・プラッツマンは、ベッカとネイサンの出会いのきっかけとなったイベントを主催しました。

Canyon Dust


本作品にはベッカ・スティーヴンス・バンドのアルバム『Weightless(2011年4月)から計3曲がピックアップされていて、「キャニオン・ダスト」の原曲は8曲目に収録されています。

【4】For You the Night Is Still (arr. Becca Stevens)

第2弾シングル「フォー・ユー・ザ・ナイト・イズ・スティル」(2022年3月25日)、7曲目「アイ・アム・ノー・アーティスト」、10曲目「105」、13曲目「ティレリー」の計4曲では、米ニューヨーク育ちの詩人&作家ジェーン・タイソン・クレメント(1917年~2000年)の詩が歌詞に使われています。

Live Performance Video

【5】No More (arr. William Stevens)

ベッカの父ウィリアム・スティーヴンスは5曲目「ノー・モア」、9曲目「45バックス」、10曲目「105」、15曲目「In the Midst」(輸入盤ボーナストラック)の計4曲の編曲のほか、エグゼクティヴ・プロデュースも手がけました。

No More


原曲は『Weightless』の10曲目に収録されています。

【6】Venus (arr. Michael Ippolito)

  • 作詞・作曲:ベッカ・スティーヴンス
  • 編曲:マイケル・イッポリート

「ヴィーナス」の編曲を手がけたのは、作曲家&米テキサス州立大学・准教授のマイケル・イッポリート

Venus


本作品にはベッカのアルバム『Regina(2017年3月)から計4曲が取り上げられていて(うち1曲は国内盤ボーナストラック)、「ヴィーナス」の原曲は1曲目に収録されています。

【7】I Am No Artist (arr. Nathan Schram)

  • 作詞:ジェーン・タイソン・クレメント、ベッカ・スティーヴンス『The Heart’s Necessities: Life in Poetry』
  • 作曲:ベッカ・スティーヴンス
  • 編曲:ネイサン・シュラム

ネイサンは7曲目「アイ・アム・ノー・アーティスト」、8曲目「2 + 2 = 5」、11曲目「クラップ・クラップ」、15曲目「オフィーリア」(国内盤ボーナストラック)の計4曲の編曲のほか、プロデュースも手がけました。

I Am No Artist


原曲は、デヴィッド・クロスビーDavid Crosby)とベッカらがコラボしたアルバム『Here If You Listen(2018年10月26日)の6曲目に収録されています。

【8】2 + 2 = 5 (arr. Nathan Schram)

「2 + 2 = 5」はレディオヘッドのシングル(2003年11月7日)のカバー

Live Performance Video

レディオヘッド「2 + 2 = 5」


原曲は、レディオヘッドの6thアルバム『Hail to the Thief(2003年6月9日)の1曲目に収録されています。

【9】45 Bucks (arr. William Stevens)

  • 作詞・作曲:ベッカ・スティーヴンス
  • 編曲:ウィリアム・スティーヴンス

第1弾シングル「45バックス」(2022年2月25日)。

Live Performance Video

45 Bucks


原曲は『Regina』の4曲目に収録されています。
https://twitter.com/beccastevensbsb/status/1501249840805728258

【10】105 (arr. William Stevens)

  • 作詞:ジェーン・タイソン・クレメント、ベッカ・スティーヴンス『The Heart’s Necessities: Life in Poetry』
  • 作曲:ベッカ・スティーヴンス
  • 編曲:ウィリアム・スティーヴンス

ジェーンの詩にベッカの父ウィリアムの編曲という組み合わせの「105」。

105


原曲は『Perfect Animal』の5曲目に収録されています。

【11】Klapp Klapp (arr. Nathan Schram)

「クラップ・クラップ」は、スウェーデンのエレクトロポップバンド、リトル・ドラゴンのシングル(2014年2月14日)のカバー

リトル・ドラゴン「Klapp Klapp」


原曲は、リトル・ドラゴンのメジャーデビュー(通算4th)アルバム『Nabuma Rubberbandナブマ・ラバーバンド、2014年5月9日)の2曲目に収録されています。

【12】We Knew Love (arr. Bill Stevens)

  • 作詞・作曲:ベッカ・スティーヴンス
  • 編曲:ビル・スティーヴンス

ベッカの兄ビルが編曲を手がけた「ウイ・ニュー・ラヴ」。

We Knew Love


原曲は『Regina』の6曲目に収録されています。

【13】Tillery (arr. Timo Andres)

  • 作詞:ジェーン・タイソン・クレメント、ベッカ・スティーヴンス『The Heart’s Necessities: Life in Poetry』
  • 作曲:ベッカ・スティーヴンス
  • 編曲:ティモ・アンドレス

「ティレリー」の編曲を手がけたのは、米ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動する作曲家&ピアニストのティモ・アンドレス

Tillery


原曲は『Perfect Animal』の6曲目に収録されています。

【14】Traveler’s Blessing (arr. Stephen Prutsman)

  • 作詞・作曲:ベッカ・スティーヴンス
  • 編曲:スティーヴン・プラッツマン

ピアニスト&作曲家のスティーヴンが編曲を手がけた「トラヴェラーズ・ブレッシング」。

Traveler’s Blessing


原曲は『Weightless』の4曲目に収録されています。

【15】Ophelia (arr. Nathan Schram)

  • 作詞・作曲:ベッカ・スティーヴンス
  • 編曲:ネイサン・シュラム

国内盤CDのボーナストラック「オフィーリア」の編曲はネイサンが手がけました。

Ophelia


原曲は『Regina』の11曲目に収録されています。

【15】In the Midst (arr. William Stevens)

  • 作詞・作曲:ベッカ・スティーヴンス
  • 編曲:ウィリアム・スティーヴンス

輸入盤CDのボーナストラック「イン・ザ・ミッドゥスト」の編曲を手がけたのは、ベッカの父ウィリアム

In the Midst


原曲はベッカ・スティーヴンス・バンドのアルバム『Tea Bye Sea』(2008年1月)の1曲目に収録されています。

おわりに

フォークとジャズを軸とした、ボーカルと弦楽四重奏のみのシンプルな編成ですが、バンドサウンドのようなグルーヴも堪能できます。
原曲と聴き比べながら、編曲の妙をお楽しみください

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渡辺和歌
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