音楽

ego apartment(エゴアパートメント)ブレイクが期待される新鋭3ピースバンド

エゴアパことego apartment(エゴアパートメント)は、グルーヴィーなサウンドが魅力の新鋭3ピースバンド
声質の異なるツインボーカルが織りなす、ほんの少し日本語が混ざった英語詞のリズムにも癒されます。

はじめに


鋭児とも対バンしたことがあり、あちこちで2022年ネクストブレイクアーティストとして注目を集めている3ピースバンドego apartment(以下、エゴアパ)。

  • 中央→Dyna(ダイナ):ベース&ラップトップ、サイパン出身、リーダー、ANYEED(エニード)
  • 右→Peggy Doll(ペギードール):ギター&ボーカル、大阪府堺市出身
  • 左→Zen(ゼン):ギター&ボーカル、オーストラリア・シドニー出身

https://twitter.com/SpotifyJP/status/1483318548063608835
3人とも1998年生まれのソングライターで、出会いはInstagramのDMでした。
https://twitter.com/digle_tokyo/status/1483338433405677569
もともとDynaさんの妹さん経由でZenさんとつながりはあり、Zenさんがアップしていた動画を気に入ったDynaさんがDMを送ったことで2019年に出会い、最初は2人で曲作りしていたそうです。
https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813/status/1488144365377957890
ただ音源リリースには至らず、DynaさんがPeggy Dollさんの動画を見つけてDMを送ったことで、2022年1月に3人での活動が始まりました
https://twitter.com/egoapartment/status/1482742683445575686
ファルセット混じりの高音ボイスが特徴的なPeggy Dollさんとハスキーな低音ボイスのZenさんによるツインボーカル&ツインギター、リーダーDynaさんのベースとラップトップという編成です。
https://twitter.com/egoapartment/status/1487642946870517762
2021年5月から2022年2月までに8曲のシングルが配信リリースされました。
エイベックスが運営する音楽配信代行サービス「BIG UP!」を活用し、最初からプレスリリースも機能。
エゴアパ以前からDJやANYEED名義(アンビエント、シネマティックサウンド)でも活動しているDynaさんがリーダーということで、落ち着いた印象を受けます。
https://twitter.com/tokio_hot100/status/1485113716509052929

上記のそれぞれ異なるルーツと、3人とも好きなヒップホップなどが融合したグルーヴィーなサウンドが魅力
J-POPの枠組みにとらわれず、英語を中心とした日本語混じりの歌詞もリズム感が重視されています。
20代前半の新鋭らしからぬ安定感とクオリティの高さに注目です!

【1】Loose


8thシングル「Loose」(2022年2月16日)は、2021年にリリースされた7曲とはガラッと雰囲気が変わり、オルタナティブロックに振り切ったナンバー。
バンドとしてはまだ初期段階なので、ライブで盛り上がる曲を必要とした結果、特定のジャンルにカテゴライズされないよう音楽性の幅の広さを発揮した感じがします。
https://twitter.com/SpotifyJP/status/1493850131749171200

【2】N o o N


野太いビートとベースを軸に、白昼夢のごとく浮遊感あふれるサウンドとロマンチックな歌声が心地よく響く、7thシングル「N o o N」(2021年12月29日)。
ドリーミーなリリックビデオや概要欄の歌詞と対訳を見るとわかりますが、完全な英語詞で、1番はPeggy Dollさん、2番はZenさんがメインボーカルです。

If something I say makes you take a step back awaaay yeah

出典:N o o N/作詞:ego apartment 作曲:ego apartment

1番のサビ前で「撤回してばかり」と聴こえるところは「take a step back awaaay」と歌っています。

https://twitter.com/egoapartment/status/1450287122074660864
Peggy Dollさんの場合、デモ段階の仮歌では歌詞がないというか、英語でも日本語でもない鼻歌らしく、メンバーはこれを「ペギ語」と呼んでいるそうです。
リズム感重視で歌詞を仕上げるため、「英語のような日本語」や「日本語のような英語」になるところがおもしろいですね。

【3】Sensation


6thシングル「Sensation」(2021年12月1日)は、タイトなビートと低音のベース、ギターのリフがグルーヴィーなダンスナンバー
「フラッシュに注意が必要」といった警告から始まるMVでは、大人っぽいサウンドに反した破壊的な「感覚」が表現されています。
トマトを食べるシーンは別のMVともつながっているようです。

【4】Weigh me down


ソウルフルなディスコ調の5thシングル「Weigh me down」(2021年10月27日)。
うまくいかない人間関係を嘆くようなシリアスな歌詞ですが、体操服を着た3人がシュールな運動を繰り返すMVとのギャップにも、サウンド重視のエゴアパらしさが表れています。

【5】Wrong with u


4thシングル「Wrong with u」(2021年9月15日)は、レイドバックしたギターリフなどアナログ感あふれるサウンドが魅力です。

レイドバックとは?


レイドバックの正確な意味がわからない、実際に演奏するのは難しいという人は、ジャズギタリスト&YouTuber&ボカロP宇田大志(うだ たいし)さんの解説動画をご覧ください。
非常にわかりやすく実践的です。

時間はもうない とりあえずバイトゆくわ

出典:Wrong with u/作詞:ego apartment 作曲:ego apartment

ほぼ英語の歌詞に、ほんの少しだけ混ざった日本語が強烈!
全体的に「ロンドンブリッジが崩れるみたいに、自分との折り合いがつかない」状況が描かれた深刻で辛辣な歌詞ですが、それでも「バイトゆくわ」というフレーズが耳に残ります。
https://twitter.com/egoapartment/status/1434508750056947725
MVにはDYNAさんがデザインし、3人で作った粘土のキャラクターが登場。
https://twitter.com/egoapartment/status/1437984025419730944
イギリスの子ども番組『テレタビーズ』(Teletubbies)のキャラクターではないそうです。

テレタビーズとは?


脱力感はどことなく通じるものがあるような気もします。

【6】NEXT 2 U


「デート」がテーマの3rdシングル「NEXT 2 U」(2021年8月4日)。
DynaさんとZenさんが出会った日に作られた最初の曲で、Peggy Dollさんがアレンジを加えて完成したそうです。
ボサノバっぽいパーカッションのサウンド、メロウなギターリフ、Zenさんが歌う1番とPeggy Dollさんが歌う2番で雰囲気が変わるメロディが印象的。

I catch My breath
Feeling kinda nervous
Cause everything you do make me hot like I got the flu

(対訳)息遣いが緊張感を帯びてるのは
インフルにでもかかったかのように、
君のやることなすこと全てが僕を熱くするせい

出典:NEXT 2 U/作詞:ego apartment 作曲:ego apartment

Zenさんもディレクターの1人に名を連ねるMVでは、イントロにくしゃみと「(God)bless you」(神のご加護がありますように、お大事に)という言葉が入り、歌詞の「breath」や「インフル」につながります。
1番と2番のあいだでテープを巻き戻すような音が入るのもMVならではの趣向で、映像も逆再生になっています。

【7】SUN DOWN


2ndシングル「SUN DOWN」(2021年6月16日)のテーマは「ロマンチック」
「NEXT 2 U」に続いてDynaさんとZenさんの2人で作られた2番目の曲で、歌っているのはZenさん1人です。
ソウルフルなボーカル、ブルージーなギター、エレクトロニックなシンベとハイハットサウンド、サビで歌わないEDMのドロップ的手法など、新旧の要素が入り交じっています。

I wanna show you paradise
Let me make your afternoon
From sun down till the sun rise
Let me show you something new

(対訳)パラダイスを見せてあげたい
楽しい夕方にしよう
日が沈んでからのぼるまで
新しいもの見せるよ

出典:SUN DOWN/作詞:ego apartment 作曲:ego apartment

歌詞は「ロマンチック」ですが、タイトルにもなっている夕日をトマトに見立てたであろうMVは破壊的。
「Sensation」のMVを彷彿とさせます。

【8】1998


テーマは「セクシー」という1stシングル「1998」(2021年5月19日)のデモを作ったのはPeggy Dollさん。
レイドバックしたギターリフとベースラインに、ロック的なラップとキャッチーなR&B調のメロディが乗っています。
モノクロとセピアが基調のMVはレトロな映画のようです。

おわりに

J-POPのシングルに必須ともいわれがちな、楽曲の派手さや強度にもとらわれていない印象を受けるエゴアパ。
英語詞やMVには虚無的なニュアンスが感じられるものもありますが、リズム感重視のため歌詞について頭で深く考える必要がなく、映画のサントラやアルバム収録曲のような感覚でずっと聴いていられるグルーヴィーなサウンドになっているところが大きな魅力でしょう。
J-POPを作っているつもりはないそうですが、むしろエゴアパのような音楽性の高いアーティストの楽曲こそがJ-POPと呼ばれるような状況になるといいですね。

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渡辺和歌
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