UKロンドン出身(父:トルコ人、母:中国系マレーシア人)のハウス(EDM)DJ&プロデューサーJax Jones(ジャックス・ジョーンズ)とAdo(アド)さんのコラボ曲「Stay Gold」(ステイ・ゴールド)はTVアニメ『BEYBLADE X』(ベイブレードエックス)のエンディングテーマとして書き下ろされました。Adoさんが初めて英語詞の歌唱に挑戦した「Stay Gold」の歌詞&和訳の意味を考察、解説します。
Contents
Jax Jones × Ado「Stay Gold」ミュージックビデオ・Music Video・アニメMV・PV・YouTube動画
TVアニメ『BEYBLADE X』 Jax Jones, Ado 「Stay Gold」 ノンクレジットEDムービー
TVアニメ『BEYBLADE X』(ベイブレードエックス)とは
ベイブレード(Beyblade)とは現代版のベーゴマ(発売元:タカラトミー、旧:タカラ)。
- 第1世代(1999年7月~):爆転シュート ベイブレード
- 第2世代(2008年8月~):メタルファイト ベイブレード
- 第3世代(2015年7月~):ベイブレードバースト
- 第4世代(2023年7月~):BEYBLADE X(ベイブレードエックス)
この進化したコマのおもちゃをモチーフにした漫画やアニメでは「ベイブレードがプロのスポーツ競技」という設定の物語が描かれています。『BEYBLADE X』の漫画は河本ほむらさん・武野光さん原作、出水ぽすかさん・ZIONAOさん作画(連載『月刊コロコロコミック』小学館:2023年7月号〜)。
『BEYBLADE X』のTVアニメ(企画・原案:タカラトミー、小学館)は2023年10月6日からテレビ東京系列(毎週金曜18:25〜)ほかで放送。「X」とは「見えないもの、まだ見ぬもの、何かわからないもの」といった意味です。Jax JonesとAdoさんの「Stay Gold」は第75話(2025年4月4日)からエンディングテーマに起用されました。
- 第1話(2023年10月6日)~:OP・ONE OK ROCK「Prove」、ED・aespa「ZOOM ZOOM」
- 第52話(2024年10月18日)~:OP・L’Arc〜en〜Ciel「YOU GOTTA RUN」、ED・Perfume「Cosmic Treat」
- 第75話(2025年4月4日)~:OP・TOMORROW X TOGETHER「Rise」、ED・Jax Jones, Ado「Stay Gold」
プロ、アマチュアともに、ブレーダーによるベイバトルは原則3人1組のチーム制。勝ち方はこれまでのスピンフィニッシュ(長く回る)、オーバーフィニッシュ(弾き飛ばす)、バーストフィニッシュ(破壊する)に、エクストリームフィニッシュ(超加速のエクストリームダッシュで弾き飛ばす)が追加されました。
主な登場人物は、青&黄色ヘアの仮面X(エックス)こと黒須(くろす)エクス(CV:斉藤壮馬さん)、茶色&黒髪の風見(かざみ)バード(CV:梅田修一朗さん)、黒&虹色ロングヘアの七色(なないろ)マルチ(CV:野口瑠璃子さん)、黒&紫ポニーテールかつ和服の仮面S(エス)こと白星(しろぼし)テンカ(CV:夏吉ゆうこさん)の4人です。
TVアニメ『BEYBLADE X』ダイジェスト:1~12話
ベイバトルの聖地は、スラッシュタワーとソリダスタワーの交差するX(エックス)タワーが中央に建つX(エックス)シティ。エクス、バード、マルチの3人はチーム「ペルソナ」を結成しました。ベイスポンサーは駒刃寿司(こまばずし)、社長は寿司谷(すしや)タイショー(CV:魚建さん)、秘書は冥殿(めいでん)メイコ(CV:青木瑠璃子さん)です。
ペルソナは仮面Y(ワイ)こと龍宮(りゅうぐう)クロム(CV:石川界人さん)をリーダーとするスラッシュタワーのチャンピオンチーム「ペンドラゴン」の打倒、すなわちベイバトルの頂点、Xタワーの頂上(100階)を目指します。
テンカは第52話「Re:」(リスタート)から登場。ベイブレードの名門道場「白星流」の師範代ですが、仮面Sとしてペルソナ4人目のメンバーになります。
TVアニメ『BEYBLADE X』
- Wikipedia(ウィキペディア):BEYBLADE X、ベイブレード
- 公式サイト
- X(Twitter)
- ピクシブ百科事典(pixiv):ベイブレードX、白星テンカ
Jax Jones × Ado「Stay Gold」歌詞の意味を考察
- リリース:2025年6月13日デジタル配信(5月16日予定を延期)
- レーベル:WUGD・Polydor・Universal Music
- サブスク:Spotify、Apple Music(iTunes)
- カラオケ:DAM、JOYSOUND
- 楽譜・コード譜:U-フレット、楽器.me、RinNe(リンネ)
- Jax Jones:Wikipedia(ウィキペディア)、公式サイト、日本公式(UMJ)サイト、X(Twitter)
- Ado:Wikipedia(ウィキペディア)、公式サイト、X(Twitter)、X(スタッフ)、X(公式ファンサイト)、ピクシブ百科事典(pixiv)
曲の構成
- 1番:Aメロ~Bメロ~サビ(Cメロ)
- 2番:Aメロ~Bメロ~サビ(Cメロ)
- 3番:ラスサビ
1番Aメロ:英語から始まるEDM
Writing the unwritten
We are here facing the unknown
Cause time is always ticking
With these scars we proudly showLooking up above me
Skies are dark and cloudy
But beyond that silver lining I know lies my fate, waiting for me【和訳】
書かれざるものを書き記す
僕たちは未知なるものと対峙している
時間は常に刻々と過ぎていくから
この傷跡と共に誇りを持って上を見上げる
空は暗く曇っている
でも逆境に潜む希望の光の先に 僕の運命が待っているStay Gold/作詞・作曲:Timucin Lam・Kanata Okajima・Jamil Kami・Kiddo・Frank Nobel・Hight
Jax Jones(ジャックス・ジョーンズ)は基本的にハウスの要素を取り入れたEDMのDJ&プロデューサーであり、「Stay Gold」はブレイクビーツ的なベースミュージックの要素を取り入れたEDM楽曲といえるでしょう。
従来のハウスやテクノといったダンスミュージック、あるいはIDM、エレクトロニカ、アンビエントまで含めた踊らないクラブミュージックなど、細分化を極める電子音楽において、EDMか否かでリスナーは二分されると思われます。
ただ、基本的にインスト(ボーカルなし)の電子音楽を日常的に聴かない人にとってはEDMか、EDMではないかの区別はそれほど重要ではないのかもしれません。とくにAdoさんはグラミー賞を目指す歌い手なので、むしろ売れることに特化したポップなEDMこそ戦略に適したボーカルありの電子音楽と考えられます。
しかも、日本語のアニメ尺(テレビサイズ)は実は2番でした。フル尺の1番は英語から始まります。『BEYBLADE X』が子ども向けのおもちゃを題材としたアニメである点を踏まえると、電子音楽のなかでは大衆化したEDMであっても、音楽全体においてはまだ通好み状態の電子音楽を取り入れている時点で画期的といえそうです。
歌詞の英語は難解ではなく比較的わかりやすいと思われますが、それでも日本語ネイティブにとっては大人でさえ多少なりとも頭を使わなければならないはず。その結果、ベイブレードという楽しい遊びやAdoさんをきっかけに、幅広い層が英語や電子音楽に親しむことになるのではないでしょうか。
1番Bメロ:自分らしく輝いて全力を尽くせ
No where to run
We wouldn’t if there was one
I hear the sound
A symphony from the crowd
A thousand strong, they’re chanting at me, hear them shouting
“You are not alone”Stay gold
Go for gold【和訳】
逃げ場はない
もしあっても逃げないだろう
音が聞こえる
群衆のシンフォニー
1000人強の人々が僕に向かって叫んでいる
「君は1人じゃない」自分らしく輝き続けて
最善を目指して全力を尽くせStay Gold/作詞・作曲:Timucin Lam・Kanata Okajima・Jamil Kami・Kiddo・Frank Nobel・Hight
「Stay Gold」はTVアニメ『BEYBLADE X』第75話からのエンディングテーマ。「ベイブレードはプロのスポーツ競技」という架空の設定になっていて、ベイブレードを操るブレーダーが原則3人1組でチームを組み、ベイバトル(試合)を行います。
物語の中心となるチーム・ペルソナのメンバーは仮面Xこと黒須エクス、風見バード、七色マルチの3人でしたが、前章(前シリーズ)第52話から4人目のメンバー、仮面Sこと白星テンカが加わりました。
つまり「未知なるもの(=X)と対峙する僕たち」とはペルソナの4人のこと。とくにチーム・ゾディアックを率いる母の白星オメガと確執(=傷跡)のあるテンカが重なるかもしれません。
全ブレーダーがXタワーの頂上(100階)を目指して挑むベイバトル、あるいはオメガが開催する白星決闘(スターバトル)などを見守る観客(=群衆、1000人強の人々)も連想できます。
「Go for gold」はバトル(試合)開始の掛け声「Ready Set 321 Go Soot」(レディーセット、スリーツーワン、ゴーシュー)と絡めたようです。
1番サビ:ゴールドに輝く理由
Stay gold
Go on light up the darkness
Stay gold
Follow where your heart is
We will not wave, we’ll never change
Under the pressure we maintain
Stay gold
Stay gold【和訳】
自分らしく輝き続けて
闇を照らし続けろ
自分らしく輝き続けて
心のままに
僕らは揺るがない 決して変わらない
ずっとプレッシャーがあっても
自分らしく輝き続けて
自分らしく輝き続けてStay Gold/作詞・作曲:Timucin Lam・Kanata Okajima・Jamil Kami・Kiddo・Frank Nobel・Hight
曲名であり、歌詞でも何度も繰り返される「Stay gold」は「自分らしく輝き続けて」と訳しました。なぜゴールドなのかというと、ベイバトルの聖地Xタワーの頂上を目指すことが金メダルの獲得を彷彿とさせるからかもしれません。
さらに「1番Aメロ」に「silver lining=(逆境に潜む)希望の光」という歌詞があり、その先に待っているのが「僕の運命=Stay gold」とつながります。テンカにとって青&黄色(ゴールド)ヘアのエクスは「僕の運命」と解釈することもできそうです。バードやマルチにとっても「自分らしく輝く」ことは課題になります。
2番Aメロ:未知なる高みを駆け上がる
僕は駆け上がるよ
君が望むなら
目を覚ました Lion
逃すことはもう無いいつかの光
共に背負い
未知なる高みを追いかけて
鼓動のまま 飛べStay Gold/作詞・作曲:Timucin Lam・Kanata Okajima・Jamil Kami・Kiddo・Frank Nobel・Hight
「1番サビ」のラストに食い気味で始まる、日本語の「2番Aメロ」。金メダルに相当するようなベイバトルの頂点、Xタワーの頂上を目指して駆け上がるペルソナの4人を表現しているようです。
「Lion=ライオン」から連想されるのは、世界初の完全屋内型動物園ライオンズジャングルの運営会社をベイスポンサーとするチーム・ズーガニックのリーダー万獣(まんじゅう)キング。
ただ、青&黄色(ゴールド)ヘアのエクスをライオンに見立て、テンカがエクスを逃さず、ペルソナの一員となって、母のオメガに勝つ、白星決闘(スターバトル)を制すると誓っている感じもします。あるいはエクスと共に戦うバードやマルチが、ベイを鼓動のまま飛ばす姿も想像できるでしょう。
2番Bメロ:燃える火はバーンが企むベイタイムシフト?
ひたすら 僕ら目指すんだ
限りなく 燃える火は Xtra
手招く景色 僕ら何処へ連れてくだろうStay gold
Go for goldStay Gold/作詞・作曲:Timucin Lam・Kanata Okajima・Jamil Kami・Kiddo・Frank Nobel・Hight
「Xtra」(読み方:エクストラ、意味:特別)はエクストリームダッシュ(超加速)という新たな技、エクストリームフィニッシュという新たな勝ち方が加わった『BEYBLADE X』そのもの、さらに仮面Xことエクスと絡めているでしょう。
「燃える火」は世界有数の製薬会社ユグドラシル製薬をベイスポンサーとするチーム・ユグドラシルのリーダー不死原(ふじわら)バーンのことでしょうか。パラダイムシフト(価値観の大転換)になぞらえたようなベイタイムシフトを企んでいます。
このベイタイムシフト(ベイにおけるスピードの概念を次の次元へと進ませる、最速の時代)はノブレス・オブリージュ(高貴な者に伴う義務)を語る不死原バーンが導く高み。バーンが手招く景色はペルソナの4人や全ブレーダー、アニメの視聴者をどこへ連れていくのでしょうか。
2番サビ:子ども扱いせず子ども心を忘れない
Stay gold
導く僕ら
Stay gold
何処までも行くんだ
理屈なんて 何もいらない
心は既に知っているから
Stay gold
Stay goldStay Gold/作詞・作曲:Timucin Lam・Kanata Okajima・Jamil Kami・Kiddo・Frank Nobel・Hight
実際のベイブレードはおもちゃであり遊びですが、アニメではプロのスポーツとして描かれていて、進化を続けています。子どもがまったく理解できないほどの難解さはありませんが、大人でも途中から見始めると何が何やらわからないかもしれません。その場合はTVer(ティーバー)やYouTubeで後追いが可能です(期間限定など要確認)。
また、英語詞やEDMのテーマソングも、子どもを子ども扱いしていない証。むしろ「心は既に知っている」という表現から大人が童心に返る大切さを学べる気がします。
3番ラスサビ:Adoの挑戦とも重なる
We will not wave, we’ll never change
Under the pressure we maintain
Stay gold
Stay gold【和訳】
僕らは揺るがない 決して変わらない
ずっとプレッシャーがあっても
自分らしく輝き続けて
自分らしく輝き続けてStay Gold/作詞・作曲:Timucin Lam・Kanata Okajima・Jamil Kami・Kiddo・Frank Nobel・Hight
英語詞「1番サビ」の後半が「3番ラスサビ」として繰り返され、幕を閉じます。2020年10月23日にボカロP・syudouさんが作詞・作曲した「うっせぇわ」でメジャーデビューを果たしたAdoさん。
レトロホラーをコンセプトとした女性アイドルグループ・ファントムシータをプロデュースしたり、英語詞やEDMにチャレンジしたり、さまざまなプレッシャーはありつつ歌い手として軸になる部分はブレない姿勢がベイブレードそのものやアニメ、楽曲とも重なるのではないでしょうか。
おわりに
キャッチコピーは「全部、勝負曲。」、全40曲を収録した『Adoのベストアドバム』は2025年4月9日にリリースされました。
TK from 凛として時雨さん「unravel」(アンラベル)のカバーのほか、大森元貴さん(Mrs. GREEN APPLE)、中田ヤスタカさん、Ayaseさん(YOASOBI)、Vaundyさん、まふまふさん、なとりさん、椎名林檎さん、稲葉浩志さん&松本孝弘さん(B’z)、DECO*27(デコ・ニーナ)さんらから楽曲提供。まさに新時代を象徴するベストアルバムです。
その先に位置する「Stay Gold」はAdoさんの新たな魅力が引き出された1曲と思われます。今後もベイブレードと共に進化し続けるでしょう。
Adoのベストアドバム
Disc 1
- うっせぇわ
- 阿修羅ちゃん
- 夜のピエロ
- クラクラ
- ショコラカタブラ
- unravel
- 私は最強
- ウタカタララバイ
- マザーランド
- 向日葵
- 新時代
- ギラギラ
- ルル
- Episode X
- FREEDOM
- ロックスター
- 唱
- いばら
- Value
- 心という名の不可解
Disc 2
- 初夏
- Hello Signals
- 逆光
- リベリオン
- MIRROR
- アタシは問題作
- 行方知れず
- 愛して愛して愛して
- Tot Musica
- DIGNITY
- 会いたくて
- エルフ
- 永遠のあくる日
- レディメイド
- ラッキー・ブルート
- 過学習
- オールナイトレディオ
- わたしに花束
- 踊
- 桜日和とタイムマシン with 初音ミク
メジャーデビュー5周年イヤーの2025年、22歳で自身2度目のワールドツアー「Ado WORLD TOUR 2025 “Hibana” Powered by Crunchyroll」を開催し、2025年10月24日、23歳になるAdoさん。2025年11月11日・12日@東京ドーム、11月22日・23日@京セラドーム大阪の凱旋ドーム公演も要チェックです。