King Gnu(キングヌー)の「AIZO」(読み方:アイゾウ、アイゾー、意味:愛憎)はTVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」の主題歌(オープニングテーマ)として書き下ろされました。
ストレート(跳ねない、シャッフル・スウィングしない)な8分(音符)のスタジアムロックにドラムンベースのビート(バンドサウンドと打ち込み)を重ねた、King Gnuの王道かつ新たなアンセム「AIZO」の歌詞の意味を考察、解説します。
Contents
King Gnu「AIZO」ミュージックビデオ・Music Video・MV・PV・YouTube動画
TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」リンク
TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」PV
TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」ティザーPV
King Gnu「AIZO」歌詞の意味を考察【ネタバレ注意】
- リリース:2026年1月9日(デジタル配信)、2026年2月11日(パッケージ・CD)
- レーベル:Sony Music Labels
- サブスク:Spotify、Apple Music(iTunes)
- カラオケ:DAM、JOYSOUND
- 楽譜・コード譜:U-フレット、楽器.me、RinNe(リンネ)
- Wikipedia(ウィキペディア)
- 公式サイト
- X(Twitter):King Gnu(キングヌー)、常田大希(Daiki Tsuneta)、井口理(Satoru Iguchi)、新井和輝(Kazuki Arai)
- ピクシブ百科事典(pixiv):King Gnu、AIZO
曲の構成
- 1番:頭Bメロ&サビ~Aメロ~Bメロ~サビ(Cメロ)
- 2番:Dメロ~Bメロ~サビ(Cメロ)~ラストBメロ
クレジット
- 常田大希(Daiki Tsuneta):作詞・作曲、ギター、ボーカル
- King Gnu(キングヌー):編曲、演奏
- 井口理(Satoru Iguchi):ボーカル
- 新井和輝(Kazuki Arai):ベース(シンセベース、エレキベース)
- 勢喜遊(Yu Seki):ドラム(打ち込み)
- 安中龍磨(Ryuma Annaka):ミックス
1番頭Bメロ&サビ:渦巻く愛憎
LUV ME
HATE ME
LUV ME
KILL ME愛憎愛憎渦巻いて
大東京狂騒歌って
廻れ廻れ時代の
生き恥にずぶ濡れで愛憎愛憎を喰らって
参ろう大層な様で
離れ離れで終いよ
然らば又逢いましょうAIZO/作詞:常田大希 作曲:常田大希
※【ネタバレあり】以下、漫画・アニメのネタバレありで歌詞を考察します。ご注意ください※
雅楽の管楽器・笙(しょう)交じりのイントロから始まる「AIZO」。
このいかにも和風テイストな笙の音色はあまりにも『呪術廻戦』の世界観にマッチしているので、TVアニメのSE(サウンドエフェクト)かと聴き間違えるほどです。
夏油傑(げとうすぐる)や加茂憲倫(かものりとし)の肉体を乗っ取るかたちで、1000年以上前の平安時代から生き抜いてきた羂索(けんじゃく)の仕組んだ、呪術を与えられた者たちによる殺し合い・死滅回游(しめつかいゆう)が示唆されているのでしょうか。
- 夏油傑(げとうすぐる、CV:櫻井孝宏さん):特級術師かつ最悪の呪詛師、2017年12月24日に決行した呪霊テロ・百鬼夜行で、乙骨憂太に致命傷を負わされ、五条悟に止めを刺され死亡
- 加茂憲倫(かものりとし、CV:櫻井孝宏さん):呪術界御三家・加茂家当主(明治時代)、史上最悪の術師
- 羂索(けんじゃく、CV:櫻井孝宏さん):全ての元凶の呪詛師(1000年以上前の平安時代から存在)
- 乙骨憂太(おっこつゆうた、CV:緒方恵美さん):呪術高専(東京都立呪術高等専門学校)2年、特級術師
- 五条悟(ごじょうさとる、CV:中村悠一さん):呪術高専1年担任、呪術界御三家・五条家当主、特級術師
Queen「We Will Rock You」
ツインボーカルの片割れ、かつ同郷の幼なじみ(長野県伊那市出身)、小中大学の後輩に当たる井口理(いぐちさとる)さんによると、常田大希(つねただいき)さんは半径1メートルくらいの身の周りのことを歌詞として書き続けているとのこと。
常田大希さん自身は、King Gnuと『呪術廻戦』には親和性があるため、King Gnuらしさを追求すれば結果的に『呪術廻戦』と並走するだろうというイメージのようです。
Simon & Garfunkel「Cecilia」
いずれにしても「KILL ME」といえば『呪術廻戦』の主人公、虎杖悠仁(いたどりゆうじ)が乙骨憂太に放ったセリフ「もし次、俺が宿儺(すくな)に変わったら、迷わず殺してくれ」が連想されます。
宿儺が執着する伏黒恵(ふしぐろめぐみ)は、虎杖悠仁の同級生で親友かつバディ。
今回のTVアニメ第3期では乙骨憂太による虎杖悠仁の死刑執行が2回目の偽装死と明らかになりましたが、1回目の偽装死はTVアニメ第1期で呪霊が出現した少年院に共に派遣された同級生の伏黒恵と釘崎野薔薇(くぎさきのばら)を宿儺から守ったときでした。
こうした仲間や人間に対する愛情と、「死滅回游」直前の「渋谷事変」で宿儺に肉体を乗っ取られた虎杖悠仁の「このままじゃ俺はただの人殺しだ」といった自分に対する憎悪が渦巻きます。
この「渦巻き」も夏油傑(羂索)の生得術式(しょうとくじゅつしき、生まれ持った術式:呪力を流して発動する特殊能力)である呪霊操術(じゅれいそうじゅつ、調伏した呪霊を体内に取り込み、自由に操る能力)の奥義・極ノ番(ごくのばん、領域展開を除いた呪術の奥義)うずまき(呪霊の術式の抽出)由来でしょう。
「離れ離れで終いよ 然らば又逢いましょう」は虎杖悠仁の2回の偽装死(死亡→復活)、渋谷事変での釘崎野薔薇の死亡、虎杖悠仁と脹相(ちょうそう)と羂索(けんじゃく)の関係性など、さまざまなキャラクターの別れと再会を連想できそうです。
Miles Davis「Black Satin」
あるいは「愛憎、大東京、狂騒、参ろう、大層」が脹相(ちょうそう)と韻を踏んでいるとすると、兄弟愛や家族愛の裏返った憎しみが呪いの連鎖となるので祓いが必要とわかりやすいかもしれません。
- 虎杖悠仁(いたどりゆうじ、CV:榎木淳弥さん):呪術高専1年、宿儺の器
- 両面宿儺(りょうめんすくな、CV:諏訪部順一さん):特級呪物(1000年前の術師、死後20本の指が特級呪物として残され、取り込んだ虎杖悠仁に受肉)
- 伏黒恵(ふしぐろめぐみ、CV:内田雄馬さん):呪術高専1年、2級術師、術式は呪術界御三家・禪院家(ぜんいんけ)相伝の十種影法術(とくさのかげぼうじゅつ、影を媒介とした十種の式神を召喚する術式)
- 釘崎野薔薇(くぎさきのばら、CV:瀬戸麻沙美さん):呪術高専1年、3級術師
- 脹相(ちょうそう):特級呪物・呪胎九相図(じゅたいくそうず、加茂憲倫の肉体を乗っ取った羂索が作り出した、呪霊の父と人間の母による9体のハイブリッド)1番
Steve Reich「Clapping Music」
ちなみに「AIZO」のように手拍子チャントが印象的な曲といえば、Queen(クイーン)の「We Will Rock You」(ロック)、Simon & Garfunkel(サイモン&ガーファンクル)の「Cecilia」(ポップミュージック、フォーク、ロック)、Miles Davis(マイルス・デイヴィス)の「Black Satin」(Molester、ジャズファンク)、Steve Reich(スティーヴ・ライヒ)の「Clapping Music」(ミニマルミュージック)などが挙げられるでしょうか。
1番Aメロ:禪院真希&真依と禪院家のバトル
ドラマチックに溺れて
未完成な私を認めて
気休めのフィクション
嘘と真の不協和音出来損な愛でも許して
構わない 此の舞台生き抜いて
咬ませ狗の武者震い
ヤラレっぱなしじゃ
大人しくはなれないAIZO/作詞:常田大希 作曲:常田大希
常田大希さん目線で半径1メートルの日常が描かれているとすると「アニメ主題歌というタイアップに溺れるあまり、音楽家としては未完成な私を認めてほしい。アニメというフィクション(嘘)もリアルなノンフィクション(真:まこと)も気休め(その場限りの安心)に過ぎず、両者は不協和音を奏でるばかリ(音楽家だけに)」といったところでしょうか。
たとえば常田大希さん率いるクリエイティブレーベルPERIMETRON(ペリメトロン)のメンバーや米津玄師さんと比べると、常田大希さん自身はそれほど強火の漫画オタク、アニメオタクではないかもしれません。
そのため強火オタクに対して「出来損ないな漫画愛、アニメ愛でも許してほしい」と断りを入れたうえで、「それでも構わない。主題歌担当としてアニメの世界観(此の舞台)を生き抜こう」と引き立て役(咬ませ狗)を自覚しつつ興奮(武者震い)している、テンションを高めている(ハイテンションになっている)ようです。
ちなみに「咬ませ狗」(かませいぬ)とは「闘犬を調教する際に自信をつけさせるためにあてがってかませる弱い犬」のことで「引き立て役、盛り上げ役、やられ役、負け役」を意味します。
「大文字ミレパ(MILLENNIUM PARADE)の世界ツアー中止でヤラレ役(咬ませ狗)に成り下がった分、エクスペリメンタル(実験音楽)やアンビエント(環境音楽)を含むチル系(大人しく静かな音楽)に対して最悪(SO BAD)と言い放ち、今やヌーの王道と化したスタジアムロックで安定の国内ツアーを慣行するしかない=ミレパに自信をつけさせるための咬ませ狗(ヌー)の武者震い(ハイテンションなスタジアムロック)=AIZO」といった正論が浮かび上がるようです。
『呪術廻戦』的解釈
では、「常田大希さん目線の日常」と結果的に並走することになるという『呪術廻戦』の物語として解釈した場合、「1番Aメロ」で注目したいのは「出来損な愛→未完成な私→嘘と真の不協和音」、「咬ませ狗」、「武者震い」の3点。
1つめの「出来損な愛→未完成な私→嘘と真の不協和音」が示唆しているのは、呪術界御三家・禪院家(ぜんいんけ)の双子姉妹・禪院真希(ぜんいんまき)と禪院真依(ぜんいんまい)でしょう。
禪院真希(ぜんいんまき)は呪力や術式を持たない代わりに、並外れた身体能力を手に入れるという縛り(しばり)を持って生まれてきた、天与呪縛(てんよじゅばく)のフィジカルギフテッド。
「出来損な愛でも許して」と書いて「できそこないなあいでもゆるして」と読ませ、「AIZO」のMVに双子が登場するなど、「死滅回游 前編」での真希&真依と禪院家のバトルが思い浮かびます。
- 禪院真希(ぜんいんまき、CV:小松未可子さん):呪術高専2年、4級術師
- 禪院真依(ぜんいんまい、CV:井上麻里奈さん):呪術高専2年、3級術師
2つめの「咬ませ狗」から連想されるのは、生得術式・呪言(じゅごん)の影響を考慮して、おにぎり語しか話さない狗巻棘(いぬまきとげ)、あるいはお笑い芸人から術師へと覚醒させられた死滅回游の泳者(プレイヤー)髙羽史彦(たかばふみひこ)。
髙羽史彦はコント番組『笑う犬の冒険 -SILLY GO LUCKY!-』(1999年11月21日~2001年9月16日)内のコント「ザ・センターマン」でネプチューンの原田泰造さんが扮したセンターマン姿で東京第1結界(コロニー)にて死滅回游に参加します。
『笑う犬』シリーズ(1998年~2003年、2008年、2010年)の前身番組ともいえる『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』(1990年10月13日〜1993年6月26日)の「やるならやらねば」を「ヤラレっぱなしじゃ 大人しくはなれない」と昇華したのかもしれません。
- 狗巻棘(いぬまきとげ、CV:内山昂輝さん):呪術高専2年、準1級術師
- 髙羽史彦(たかばふみひこ、CV:鶴岡聡さん):死滅回游の泳者(プレイヤー)、35歳の売れないお笑い芸人
3つめは「武者震い」と書いて「ハイテンション」と読ませています。
これは死滅回游の総則(ルール)に則ったのではないでしょうか。
死滅回游:総則(ルール)
1、泳者(プレイヤー)は術式覚醒後十九日以内に任意の結界(コロニー)にて死滅回游への参加を宣誓しなければならない。
2、前項に違反した泳者(プレイヤー)からは術式を剥奪する。
3、非泳者(ひプレイヤー)は結界に侵入した時点で泳者(プレイヤー)となり、死滅回游への参加を宣誓したものと見做す。
4、泳者(プレイヤー)は他泳者(ほかプレイヤー)の生命を絶つことで点(ポイント)を得る。
5、点(ポイント)とは管理者(ゲームマスター)によって、泳者(プレイヤー)の生命に懸けられた価値を指し、原則術師5点(ポイント)、非術師1点(ポイント)とする。
6、泳者(プレイヤー)は自身に懸けられた点(ポイント)を除いた100得点(ポイント)を消費することで管理者(ゲームマスター)と交渉し、死滅回游に総則(ルール)を1つ追加できる。
7、管理者(ゲームマスター)は死滅回游の永続に著しく障る場合を除き、前項による総則(ルール)追加を認めなければならない。
8、参加、または点(ポイント)取得後、十九日以内に得点(ポイント)の変動が見られない場合、その泳者(プレイヤー)からは術式を剥奪する。
1番Bメロ:死滅回游の平定と五条悟の解放
LUV ME
正しさばかりで
HATE ME
全部奪って
LUV ME
愛憎塗れで
KILL ME
此処を連れ出してAIZO/作詞:常田大希 作曲:常田大希
「1番Bメロ」では「正しさばかりで」と「此処を連れ出して」に注目します。
TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」ノンクレジットOPムービー/OPテーマ:King Gnu「AIZO」|毎週木曜深夜0時26分(24時26分)~
ノンクレジットOP映像の冒頭では、虎杖悠仁と思われる人物が左手でガスコンロのつまみを回して点火すると『呪術廻戦』の赤文字タイトルが全面に広がります(0:10)。
続いて「AIZO」の「1番頭Bメロ」が終わり、「1番頭サビ」が始まる直前のドラムの連打中(0:11)、瞬間的に表示される言葉は下記のとおりです。
正しい死
両面宿儺
呪術全盛の時代
オマエは強いから 人を助けろ
だったらせめて自分の知ってる人くらいは正しく死んでほしいって思うんだ
双子
これはな戦争なんだよ 間違いを正す戦いじゃねぇ
オマエは何を託された?
秘匿死刑
命の価値を履き違えるな
特級呪物
東京都立呪術高等専門学校
呪術規定に基づき 虎杖悠仁オマエを “呪い”として祓う
血
自分が呪いに殺された時も そうやって祖父のせいにするのか
共犯ね 私達
生き様で後悔はしたくない
闇より出でて闇より黒く その穢れを禊ぎ祓え
反転術式
これら『呪術廻戦』に出てくるセリフと用語のうち、最初の「正しい死」が歌詞の「正しさばかりで」とリンクしているでしょう。
常田大希さん目線で解釈すると「コンプライアンス(法令遵守)重視の正しさばかりが求められる世の中で、全部奪われるようなストレスがたまっている。愛と憎しみが交錯する現世(現状)から連れ出してほしい」といったところでしょうか。
『呪術廻戦』の物語に寄り添うと、虎杖悠仁の信念や行動理念となった「正しい死」とは「オマエは強いから 人を助けろ」という遺言を残して亡くなった祖父の死のような穏やかな死、自分の役割を全う(まっとう)して迎える死のこと。
「此処を連れ出して」は「死滅回游からの離脱」(死滅回游の平定)と「五条悟の特級呪物・獄門彊(ごくもんきょう)からの解放」と考えられます。
1番サビ:交差するも離れるも縁
愛憎愛憎抱き合って
最高潮よ何時だって
騙し騙しで良いの
代償なんて気にしないよ愛憎愛憎に踠いて
外交愛想振り撒いて
万物問答無用で終いよ
然らば又逢いましょうAIZO/作詞:常田大希 作曲:常田大希
先述の『rockinon.com』のインタビューによると、常田大希さんにとって「多様性(ダイバーシティ)を認めることは、距離を取ることと同義(同じ意味)」だそうです。
その考え方は「1番頭サビ」の「離れ離れで終いよ 然らば又逢いましょう」や「1番サビ」の「万物問答無用で終いよ 然らば又逢いましょう」に反映されているでしょう。
一曲ヒットしたミュージシャンが次々とそれに似たような曲をリリースしてるのを見る度に、そんな周りから求められることを真面目にやらなくて良いんだよと思う
お客側もね。人生に必要なら聴きゃいいし必要なけりゃ離れりゃいい。だからこそ縁があって交差してる時が尊い。love
常田大希さんのX(Twitter)のポストにも「交差するも離れるも縁」という考え方が見受けられます。
サカナクション「なんてったって春」
それでは遠慮なく、「1番サビ」前半の「だ」(抱き合って、何時だって、騙し騙し、代償)と「1番サビ」後半の「ま行」(踠いて、振り撒いて、問答無用、終いよ、又、逢いましょう)から、サカナクションの6thアルバム『sakanaction』(2013年3月13日、Victor Entertainment)の収録曲「なんてったって春」の「な」と「だ」を連想する多様性で距離を取ってみました。
2番Dメロ:ロック、ドラムンベース、和楽器の融合
夢見心地で嘘みたいだろう?
今の東京では正気じゃ居られない
甘い言葉で疼かせて
今が最高とそう思わせて
情けは無用ね
世情無常で一生平行線ねAIZO/作詞:常田大希 作曲:常田大希
「AIZO」はロック、ドラムンベース、和楽器の融合したトーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル。
イントロの笙は平安時代からある和楽器、「2番Dメロ」のラスト「一生平行線ね」の後に切り込んでくる三味線は江戸時代に盛んになりました。
津軽三味線ユニット輝&輝が結成したバンド、輝&輝バンドを応援しよう! ファーストアルバム制作プロジェクト!
その三味線を奏でているのは、ドラム勢喜遊(せきゆう)さんの妻で津軽三味線デュオ輝&輝(KIKI)のメンバーでもある津軽三味線奏者・白藤ひかりさんです。
King Gnuのサウンドも『呪術廻戦』の物語も、さまざまな時代をまたぎつつ「今が最高」と思いたいのに「正気じゃ居られない」ほど混沌としているので、たしかに「一生平行線」なのかもしれません。
2番Bメロ:正しい死を呪う宿儺のぼやき
愛憎塗れで
此処を連れ出してLUV ME
正しさばかりで
HATE ME
今日も無情いね
LUV ME
愛憎塗れで
KILL ME
心剥き出しでAIZO/作詞:常田大希 作曲:常田大希
「正しさばかりで 今日も無情(つれな)いね」とぼやいているのは、虎杖悠仁(いたどりゆうじ)に取り込まれた特級呪物・両面宿儺(りょうめんすくな)とも解釈できそうです。
Portishead – Glory Box
虎杖と宿儺、人間と呪い、正しい死と間違った死、愛と憎しみ、戦争と平和、男と女、ロックとチル、両者は「一生平行線」のようにも感じられます。
2番サビ:抱いてやるよ
愛憎愛憎渦巻いて
大東京狂騒歌って
廻れ廻れ時代の
生き恥にずぶ濡れで愛憎愛憎を喰らって
参ろう大層な様で
離れ離れで終いよ
然らば又逢いましょう愛憎愛憎抱き合って
最高潮よ何時だって
騙し騙しで良いの
代償なんて気にしないよ愛憎愛憎に踠いて
外交愛想振り撒いて
万物問答無用で終いよ
然らば又逢いましょうAIZO/作詞:常田大希 作曲:常田大希
「1番頭サビ」と「1番サビ」が繰り返される「2番サビ」。
「1番サビ」にも出てきた「愛憎愛憎抱き合って」は、禪院家26代目当主・禪院直毘人(ぜんいんなおびと、CV:中田譲治さん)の息子、禪院直哉(ぜんいんなおや、CV:遊佐浩二さん)とのバトルで、禪院真希(ぜんいんまき)が相撲の横綱土俵入りなどの座法・蹲踞(そんきょ、そんこ)のような不知火型(しらぬいがた)の構えをとりつつ放った名セリフ「抱いてやるよ」を連想できます。
ちなみに、脹相(ちょうそう)とのバトルの際、ドブカス直哉こと禪院直哉(ぜんいんなおや)が投射呪法で髪かき上げパンチを繰り出すというアニオリ(アニメオリジナル)の舐めプ(舐めたプレイ:格闘ゲームなどで対戦相手を見下し、わざと手を抜くプレイ)も話題になりました。
米津玄師「KICK BACK」
米津玄師さんは劇場版『チェンソーマン レゼ篇』(2025年9月19日公開)のオープニング主題歌「IRIS OUT」を制作する際、「KICK BACK 2」にならないよう心がけたそうです。
Kenshi Yonezu – KICK BACK(Live with Daiki Tsuneta)”Chainsaw Man” OP
TVアニメ『チェンソーマン』(2022年10月12日〜12月28日)のオープニング主題歌「KICK BACK」には共同プロデュース&編曲とギター&ベース演奏で常田大希さんが参加しています。
米津玄師 × 常田大希 – KICK BACK 対談
デモ段階ではドラムンベースだったという「KICK BACK」。
もしかしたら常田大希さんは「AIZO」で「KICK BACK 2」を意識したのかもしれません。
2番ラストBメロ:羂索の目的は人類の進化
LUV ME
正しさばかりで
HATE ME
全部奪って
LUV ME
愛憎塗れで
KILL ME
此処を連れ出してLUV ME
正しさばかりで
HATE ME
今日も無情いね
LUV ME
愛憎塗れで
KILL ME
心剥き出しでAIZO/作詞:常田大希 作曲:常田大希
「1番Bメロ」と「2番Bメロ」が繰り返される「2番ラストBメロ」。
結局「正しさばかりで 今日も無情(つれな)いね」とぼやいているのは、母・虎杖香織(いたどりかおり、CV:林原めぐみさん)の肉体を乗っ取って虎杖悠仁(いたどりゆうじ)を産んだ羂索(けんじゃく)なのかもしれません。
羂索の目的は人類の進化、人類と天元(てんげん、CV:榊原良子さん)の同化、その慣らしが死滅回游(呪術師たちの殺し合い)です。
羂索が虎杖悠仁を「宿儺(すくな)の器」に選んだのは、宿儺が食べた双子の片割れの魂が虎杖悠仁の祖父・虎杖倭助(いたどりわすけ、CV:千葉繁さん)として転生したからでした。
Portishead – Roads (Live From The Roseland Ballroom, NYC)
個人的には「人類が進化すると憎しみや呪い、バトルはなくなるのでは?」と夢想してしまいますが、『呪術廻戦』や「AIZO」が大ヒットする2020年代において、双子のように表裏一体の生死を共にする泳者(プレイヤー)として、距離を取ったり近づいたりしながら同じ時代を生き抜いていきましょう。
おわりに
King Gnuのメンバー4人が生放送で全員集合(禪院集合)したニッポン放送のラジオ番組『King GnuのオールナイトニッポンGOLD 』(2026年1月16日)で、『King Gnu井口理のオールナイトニッポン0(ZERO)』が放送されたのは7年前という発言がありました(2019年1月5日、2019年4月5日~2020年3月27日)。
interfm(旧InterFM897)のラジオ番組『RADIO GNU』(レディオヌー)に至っては8年前になります(2018年4月〜2019年3月)。
ここで常田大希さんが好きなヒップホップ、新井和輝さんのおすすめするジャズ、勢喜遊さんが心躍らせるファンク、R&B、ネオソウルを聴くのが青春だったリスナーもいるはず。
とはいえ、「AIZO」で「今が最高」を達成した感のあるKing Gnu。
Srv.Vinci『Mad me more softly』
ただ、「Prayer X」(2018年9月19日)の「一体全体」でJ-POP&邦ロック&アニソンらしからぬカウンターを食らい、「Vinyl」(2017年10月25日)の「暴れ回れよ」などのストレートではないリズムでヌー沼に落ちた初期ヌー民、あるいはQueen(クイーン)の「RADIO GA GA」(レディオ ガ・ガ、1984年1月23日UKリリース)や映画『キル・ビル』(2003年10月10日US公開)ネイティブにとっては、どれほどミクスチャーされてもストレートなロックで留まるのはロキノン的、もはや演歌的なノリという刷り込みがあります。
Daiki Tsuneta Millennium Parade × Ryoji Yamada (Animation VJ)
ヌーメンバーたちのおすすめに耳を傾けた流れで最先端の音楽をディグり続けた果てに、ローファイ由来のチルとは別文脈の、ノイズやクラブミュージック由来のエクスペリメンタル(実験音楽)やアンビエント(環境音楽)にたどり着いたのに、まったくもって「一生平行線」だった2020年代。
King Gnu「McDonald Romance」
かといって、「マクドナル・ドロマンス」(McDonald Romance、2017年10月25日)の日々には戻れないうえに、こちらはまだ財布の底が見える状態なので、「然らば又逢いましょう」。
TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」ノンクレジットEDムービー/EDテーマ:jo0ji「よあけのうた」|毎週木曜深夜0時26分(24時26分)~
TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」のエンディングテーマは、鳥取出身のjo0ji(ジョージ)さんによる「よあけのうた」(デジタル配信:2026年1月10日、CD・パッケージ:2026年3月4日、Ki/oon Music・Sony Music Labels)。
jo0ji「よあけのうた」 Music Video | TVアニメ『呪術廻戦』「死滅回游 前編」エンディングテーマ
jo0jiさんは1999年9月10日生まれ、Z世代のSSWですが、吉田拓郎さんや中島みゆきさんなどのフォークやニューミュージックが好きな層にも刺さる印象です。
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