鬼才ジェイムス・ブレイクの5thアルバム『Friends That Break Your Heart』はコロナ禍で疲れた心に染みわたる名作!
ずっと聴いていられる名盤に寄り添ってみましょう。
Contents
- 1 ジェイムス・ブレイクの経歴
- 2 アルバム『FTBYH』の概要
- 3 【1】Famous Last Words
- 4 【2】Life Is Not the Same
- 5 【3】Coming Back (feat. SZA)
- 6 【4】Funeral
- 7 【5】Frozen (feat. JID & SwaVay)
- 8 【6】I’m So Blessed You’re Mine
- 9 【7】Foot Forward
- 10 【8】Show Me (feat. Monica Martin)
- 11 【9】Say What You Will
- 12 【10】Lost Angel Nights
- 13 【11】Friends That Break Your Heart
- 14 【12】If I’m Insecure
- 15 リンク
ジェイムス・ブレイクの経歴
ジェイムス・ブレイク(James Blake)は1988年10月26日生まれ。
The Wilhelm Scream
イギリス・ロンドン出身のシンガーソングライター(SSW)&プロデューサーです。
ジェイムス・リザーランド / Where To Turn
父は、ジャズロック&プログレバンド・コロシアム(Colosseum)の創設メンバー(ギター&ボーカル)だったジェイムス・リザーランド(James Litherland)。
Retrograde
2009年に1stシングル「Air & Lack Thereof」をリリースし、2014年に第56回グラミー賞の最優秀新人賞にノミネートされました。
Radio Silence
- 2nd EP『CMYK』(2010年5月):2010年Worldwide Winners・Track of the Year受賞
- 1stアルバム『James Blake』(2011年2月):2011年マーキュリー賞、ブリット・アワードノミネート
- 2ndアルバム『Overgrown』(2013年4月):2013年マーキュリー賞受賞
- 3rdアルバム『The Colour in Anything』(2016年5月)
- 4thアルバム『Assume Form』(2019年1月):第62回グラミー賞・最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞ノミネート
King’s Dead
2019年にはジェイ・ロック(Jay Rock)、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)、フューチャー(Future)とのコラボシングル「King’s Dead」で、第61回グラミー賞の最優秀ラップ・パフォーマンス賞を受賞しました。
「King’s Dead」は映画『ブラックパンサー』OST(2018年2月)、ジェイ・ロックの3rdアルバム『Redemption』(2018年6月)に収録されています。
スロウタイ / feel away (feat. James Blake & Mount Kimbie)
エレクトロニックデュオのマウント・キンビーと共に、2011年頃ジャンル化されたポストダブステップの旗手と称されています。
Mile High (feat. Travis Scott & Metro Boomin)
ビヨンセ(Beyoncé)、トラヴィス・スコット、フランク・オーシャン(Frank Ocean)、ケンドリック・ラマー、ジェイ・Z(Jay-Z)らのプロデュース、楽曲提供、コラボ、リミックス、カバーなども数多く手がけています。
アルバム『FTBYH』の概要
So happy to finally tell you my 5th studio album, Friends That Break Your Heart, is out September 10th featuring Say What You Will, out now.
Listen to Say What You Will: https://t.co/hMI585FXId
Pre-order Friends That Break Your Heart: https://t.co/bFy4ZC0Rho pic.twitter.com/OLunQfOuzc— James Blake (@jamesblake) July 22, 2021
シングル4曲を含む全12曲の5thアルバム『Friends That Break Your Heart』(フレンズ・ザット・ブレイク・ユア・ハート、以下FTBYH)は2021年10月8日、ボーナストラックが1曲追加された全13曲盤(デジタル配信のみ)は10月12日にリリースされました。
音楽の進化に伴ってジャンルは細分化されてきましたが、次々に生まれるサブジャンルでも追いつかないほど最先端の音楽を生み出しているジェイムス。
10年あまりの経歴を振り返ってもタイムレスな楽曲ばかりですが、新型コロナのパンデミックによるロックダウン中に作られた『FTBYH』は異様なほど聴きやすいという特徴があります。
時世を反映し、「友だちや大切な人と自分」の関係が描かれていて、不穏な雰囲気が漂いつつ、最終的には安らぐコンセプトアルバムです。
電子音楽界の異端児としての音響的な遊びはそこかしこに散りばめられているものの、鍵盤奏者による歌モノ&ラップのポップミュージックとして幅広く受け入れられるでしょう。
アーティストのマイルス・ジョンソン(Miles Johnston)によるカバーアートは不気味な世界観が表現されているものの、動画ではそれでも安らぐ仕かけが施されています。
【1】Famous Last Words
「Famous Last Words」(フェイマス・ラスト・ワーズ)は9月13日に先行リリースされた第3弾シングル。
別れが描かれていて、ミニマルなリズムは怪しげながらも心地よく、浮遊感あふれるボーカルも楽器の一部のように音響的に聴こえるダウンテンポのチルナンバーです。
ジェイムスは作詞・作曲・プロデュース・ドラムプログラミング・ストリングスアレンジ、ボーカル・キーボード、ミキシング&レコーディングエンジニアなどを担当。
マウント・キンビーのドミニク・メイカー(Dominic Maker)と共に、ジェイムスの恋人の女優ジャミーラ・ジャミル(Jameela Jamil)もサブプロデューサーとしてクレジットされています。
- 歌詞:Musixmatch
【2】Life Is Not the Same
「Life Is Not the Same」(ライフ・イズ・ノット・ザ・セイム)は8月20日に先行リリースされた第2弾シングル。
<88rising>所属のジョージ(Joji)さんによる超音波的高音から低音へのエフェクトボイスなどのバックボーカルが印象的な失恋ソングです。
テイク・ア・デイトリップ
https://youtu.be/Gq6CvdGTLmo
共同ソングライター&共同プロデューサーにプロデューサーデュオのテイク・ア・デイトリップ(Take A Daytrip)、サブプロデューサーにKhushiを迎えています。
- 歌詞:Musixmatch
【3】Coming Back (feat. SZA)
シザをゲストボーカルに迎えた「Coming Back」(カミング・バック)は、アルバムと同じ10月8日にリリースされた第4弾シングル。
エレピのフェンダーローズ(Fender Rhodes)のサウンドを再現できるソフトシンセ、アートリア(Arturia)のStage-73 Vがパーカッションとして活用されたオルタナティブR&Bです。
アリオッタ・ヘインズ・ジェレミア / Lake Shore Drive
アリオッタ・ヘインズ・ジェレミア(Aliotta Haynes Jeremiah)の「Lake Shore Drive」(1973年)がサンプリングされています。
スターラー(Starrah)は共同ソングライター、ドミニク・メイカーはコーラス&共同プロデューサー&共同プログラミング、ジャミーラ・ジャミルとKhushiはサブプロデューサーです。
- 歌詞:Musixmatch
【4】Funeral
タイトルの「Funeral」(フューネラル)とは「葬式」のことですが、「Funeral」と「Too well」で韻を踏んでいて、「自分の葬式で生きていることをよく知っている」といった内容。
絶望的な状況でも諦めずにベストを尽くそうとするダウンテンポです。
Khushiもサブプロデュース。
Funeral (with slowthai)
スロウタイをゲストに迎えたバージョンは、後に配信リリースされたデジタル盤13曲目のボーナストラックになっています。
ザ・トゥナイト・ショー
https://youtu.be/LBTNVeyCDxg
アメリカのトーク番組「ザ・トゥナイト・ショー」のライブ映像です。
- 歌詞:Musixmatch
【5】Frozen (feat. JID & SwaVay)
JID(ジェーアイディー)とスワヴェイをゲストに迎えた「Frozen」(フローズン)。
ダークなラップに彩られたアンビエントで、心を失い、凍った世の中が描かれています。
ジャミーラ・ジャミルもサブプロデュース。
- 歌詞:Musixmatch
【6】I’m So Blessed You’re Mine
もともとビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)に提供するために制作し、兄のフィニアス(Finneas)にも送ったものの、結局ジェイムス自身の曲になったという「I’m So Blessed You’re Mine」(アイム・ソー・ブレスト・ユーア・マイン)。
Five12のシーケンサーモジュール、Vector Sequencerを活用したコーラスのループが印象的なミニマルナンバーです。
コーラス&共同ソングライター&サブプロデューサーにドミニク・メイカー、コーラス&共同ソングライター&共同プロデューサー&レコーディングエンジニアなどにKhushi、サブプロデューサーにジャミーラ・ジャミルとJosh Stadlenを迎えています。
- 歌詞:Musixmatch
【7】Foot Forward
冒頭の「メトロ」という呼びかけ、「OK」の高低差、「全力を尽くす」という意味のタイトルの連呼などがやたらとクセになる「Foot Forward」(フット・フォワード)。
共同ソングライターや共同プロデューサーはメトロ・ブーミン(Metro Boomin)とフランク・デュークス(Frank Dukes)とアリ・タンポジ(Ali Tamposi)、サブプロデューサーはドミニク・メイカーとジャミーラ・ジャミルです。
ダン・ヒル / Frozen in the Night
ダン・ヒル(Dan Hill)の「Frozen in the Night」(1978年)がサンプリングされています。
- 歌詞:Musixmatch
【8】Show Me (feat. Monica Martin)
モニカ・マーティンをゲストボーカルに迎えた「Show Me」(ショー・ミー)は、ミディアムテンポのバラード。
キック(バスドラム)にモーグ(Moog)のモジュラーシンセ、DFAMが使用されています。
共同プロデューサーはドミニク・メイカー、サブプロデューサーはKhushiとジャミーラ・ジャミル。
- 歌詞:Musixmatch
【9】Say What You Will
「Say What You Will」(セイ・ワット・ユー・ウィル)は7月22日に先行リリースされた第1弾シングル。
MVにはビリー・アイリッシュの兄フィニアスも出演していて、何かとフィニアスと比較して落ち込むものの、どうにか自信を取り戻すジェイムスの姿が描かれています。
突然アカペラになるところやビブラート過多のロングトーンが切なくもユーモラス。
和訳
MVのエンディングで引用されているのは、ルーズベルト元大統領の名言「比較とは喜びを奪うもの」。
ジミー・キンメル・ライブ!
アメリカのトークライブ番組「ジミー・キンメル・ライブ!」のライブ映像です。
共同ソングライター&共同プロデューサーにドミニク・メイカー、共同ソングライター&サブプロデューサーにJosh Stadlen、サブプロデューサーにジャミーラ・ジャミルを迎えています。
- 歌詞:Musixmatch
【10】Lost Angel Nights
「Lost Angel Nights」(ロスト・エンジェル・ナイツ)は讃美歌のようなバラード。
ジェイムス自身、デイヴ・スミス・インスツルメンツ(Dave Smith Instruments、現Sequential)のアナログシンセ、プロフェット’08(Prophet ’08)を使ったベースノート(ボトムノート)がお気に入りだそうです。
ブルックリン・デュオ / Canon in D
「パッヘルベルのカノン」を彷彿とさせる旋律も美しく響きます。
共同ソングライターはアリ・タンポジ、サブプロデューサーはドミニク・メイカーとKhushiとジャミーラ・ジャミル。
- 歌詞:Musixmatch
【11】Friends That Break Your Heart
友だちとの別れが描かれたタイトル曲。
ジェイムスはシンベ、シンセ、ウーリッツァーピアノ、共同ソングライター&共同プロデューサーのリック・ノウェルズ(Rick Nowels)はアコギ、キーボード、メロトロン、ローズピアノを演奏しています。
ピアノ・バージョン
ピアノ・バージョンも公開されています。
- 歌詞:Musixmatch
【12】If I’m Insecure
教会音楽のような鍵盤とヴィオラの音色、聖歌のようなコーラス、ラストのドラム音が印象的な「If I’m Insecure」(イフ・アイム・インセキュア)。
共同ソングライター&ストリングスアレンジにニコ・マーリー(Nico Muhly)、サブプロデューサーにジャミーラ・ジャミルを迎えています。
パンデミックで孤立し、不安だった心が浄化されたのではないでしょうか。
- 歌詞:Musixmatch