5人組ダンス&ボーカルグループDa-iCE(ダイス)の「スターマイン」(2022年8月22日、avex trax)は、第64回日本レコード大賞(開催:2022年12月30日)の優秀作品賞を受賞(大賞ノミネート)。
作詞・作曲を担当したリーダー&パフォーマー工藤大輝さんの戦略、および旧3人組(2023年3月~:2人組)クリエイター(インフルエンサー)ローカルカンピオーネ(Local Campione)とのコラボにより、TikTokでもバズりました。
Da-iCEの「イマ」を魅せるアップテンポな夏曲として、「海・太陽・クラブ」より「夜・花火・浴衣」が表現された、デジタルシングル『イマ』の表題曲「スターマイン」の歌詞の意味を考察します。
Da-iCEが明かす“スターマイン”制作秘話。さらなるヒットを生むために、5人が立てた戦略とは? #Da_iCE #スターマイン https://t.co/L5zPiVy27O
— rockinon.com (@rockinon_com) November 24, 2022
Contents
【頭サビ】4つの意味が重ねられた数え歌
一発じゃ足りないのかい
二発目をおかわりしたい
三度目の正直なんて無い
四の五の言うなよ
ロクデモナイスターマイン/作詞:工藤大輝 作曲:工藤大輝・TARO MIZOTE・サイトウリョースケ
イントロなし、「ああ~」という唸(うな)りを含め、TikTokで切り取りやすくするため、ぴったり15秒でまとめられた頭サビ。
「スターマイン」の振り付けを担当したshojiさんが所属する4人組ダンスパフォーマンスグループs**t kingz(シットキングス、通称:シッキン)のワークショップにインスパイアされ、レゲトンのビートを取り入れたそうです(頭サビはギター)。
アップテンポ(130~131BPM)な夏曲なので、ヒットさせるためにはおもしろ要素が必要という考えから、ボカロも意識されています。
Da-iCE「CITRUS」
数え歌のアイデアは、第63回日本レコード大賞(開催:2021年12月30日)を受賞した、読売テレビ・日本テレビ系日曜ドラマ『極主夫道』(2020年10月11日~12月13日)主題歌「CITRUSの一発屋で終わりたくない。ロングヒットさせたい」という思いから生まれたとのこと。
ただ、強烈な冒頭を聴くと「下ネタ?」と勘違いする人もいるでしょう。
もちろん、その点も織り込み済みで、「Da-iCEのヒット願望、花火、夏の恋愛、飲み会」の4つの意味が重ねられています。
飲み会の場合はお酒の「おかわり」を続けて「ロクデモナイ=無礼講」と解釈できるそうです。
King Gnu「Vinyl」
筆者個人的に、「ああ~」の唸りはKing Gnu「Vinyl」、「四↓の↑五↓の↑~」の急な音程の上下はKing Gnu「白日」へのオマージュかと思いました。
King Gnu「白日」
しかし、インタビューでは言及されていないので、深読みのしすぎかもしれません。
【1番Aメロ】露出や祭りの本当の意味とは?
茹(う)だるような熱さが鬱陶しい
夜は薄着の天使が騒々しい
露出ばかり増えるんじゃ意味無いね
本当の意味での祭りはこれからさスターマイン/作詞:工藤大輝 作曲:工藤大輝・TARO MIZOTE・サイトウリョースケ
レゲトンビートに「タッタラタラ(※1)・タッタッタッター(※2)、※1・タッタッタッタター、※1・※2、※1・タッ」とコーラスが乗る間奏に続く「1番Aメロ」。
「薄着(う↓す↑ぎ↓)の、天使(て↓ん↑し↓)が」の急な高音&裏声や、「露出、本当の」の2拍3連のリズムが楽しいです。
こうしたボーカル(メロディー)のリズムがおもしろいところも、昭和の歌謡曲みたいに「暑い夏の夜、薄着の女性が騒がしいけれども、肌の露出が増えるだけでは意味がない。(花火大会や屋台、露店などの出店がある祭りではなく)大人っぽい意味での祭りはこれからさ」と艶っぽく解釈できる点も、King Gnuの「Vinyl」を連想してしまいます。
ところが、ここでの「本当の意味」は「CITRUSでメディアへの露出が増えただけでは仕方がない。(ネットスラングの祭りのように)ヒットを重ねて大騒ぎになるのはこれからさ」ということ。
Da-Iceの音楽活動に対する「鬱陶しい」ほどの「熱さ」が込められています。
【1番Bメロ】スターマインもダブルミーニング
火傷するくらいの近距離で
仕込むスターマイン
類を見ないような手順で
スタンバイ さぁ打ち上げろスターマイン/作詞:工藤大輝 作曲:工藤大輝・TARO MIZOTE・サイトウリョースケ
唸りや裏声、急な音程の上下、激しいアクセント(強弱)、2拍3連など変化球のリズムが多用された複雑なボーカルが続くなか、「1番Bメロ」は一転、愛をささやくかのようにメロウなR&B調になります。
曲名の「スターマイン」(和製英語)は、もともと花火大会のフィナーレを飾ったりする、花火の打ち上げ方法「速射連発」のこと。
一方「星を自分のものにする→スターになる」と訳すと、やはり「「Da-iCEのヒット願望」が軸になっているとわかるでしょう。
つまり「スターマイン=ヒット曲の(速射)連発」。
「ヒット曲を連発するために、仕込みや手順にこだわって準備・待機(スタンバイ)してから、リリースしよう(打ち上げろ)」と解釈できます。
実際、インフルエンサーのローカルカンピオーネに音源を事前にリークするという「類を見ないような手順」が踏まれ、リリース前に「火傷するくらいの近距離=15秒と短いTikTok」で大量のUGC(ユーザー生成コンテンツ)が生まれ、話題になりました。
前述の「4つの意味」のうち「飲み会」と「夏の恋愛」、とくに下ネタはここでは盛大な勘違いになるので注意が必要です。
【サビ】花火、音楽活動、人生の上がり下がり
一発じゃ足りないのかい
二発目をおかわりしたい
三度目の正直なんて無い
四の五の言うなよ
鍵屋 玉屋上がって がって 合点
でもね たまにゃ
下がって がって ガッデム
三度目の正直なんて無い
四の五の言うなよ
ロクデモナイスターマイン/作詞:工藤大輝 作曲:工藤大輝・TARO MIZOTE・サイトウリョースケ
TikTok対策で15秒にまとめられた「頭サビ」の全貌が明らかになる「サビ」。
ミックスボイスの高音が美しい「鍵屋 玉屋」は江戸時代の花火師の屋号由来の花火の掛け声ですが、Da-iCEの「ヒット曲を連発して祭り状態にしよう」という意気込みが伝わってきます。
「上がって、合点、下がって、ガッデム」と韻を踏むところは、英語のスラング(短縮形)「gotta=(have)got to=have to、must、しなければいけない」に空耳できてソウルフル。
人生には上がり下がり(浮き沈み)の波があり、うまくいかないときは「ガッデム=くそ」とイライラするかもしれません。
それでも「三度目の~=後がない」と自覚すれば、「四の五の言う=文句を言う」だけでは「ロクデモナイ=意味がない、どうしようもない」と気づくでしょう。
「四↓の↑五↓の↑~」の急な音程の上下は「花火、音楽活動、人生の上がり下がり」を表現していたのかもしれないと気づくと、その秀逸さにぞわっとします。
【2番Aメロ】未曾有の炎色反応とは?
寄ってらっしゃい
見てらっしゃい
でも外野はさっさと黙らっしゃい
わっしょい わっしょい
騒ぎ立てるより
この瞬間大事にしない?
未曾有の炎色反応で
彩るのは過去じゃなく未来だけスターマイン/作詞:工藤大輝 作曲:工藤大輝・TARO MIZOTE・サイトウリョースケ
突如ラップ調になる「2番Aメロ」。
「寄ってらっしゃい」や「わっしょい」は祭り、「炎色反応」(花火の着色にも利用される「特定の元素+炎=特有の色」の化学反応)は花火らしい言葉ですが、軸になっているのはやはりDa-iCEの音楽活動で、韻を踏みながら「過去(CITRUS)に執着せず、いま(スターマイン)を大切にして、未来を描こう」とリスナーに呼びかけています。
「未曾有」(読み:みぞう、意味:かつてない)の「炎色反応」は、Da-iCEとローカルカンピオーネのコラボをほのめかしつつ、ラップも挟まる「スターマイン」のカラフルな楽曲構成をメタ的に表現しているなど、幅広く解釈できるでしょう。
また「1番Aメロ」と同じく、「未曾有の(みい・ぞ・うの)、彩るの(いろど・る・の)」の2拍3連のリズムがおもしろいです。
【2番Bメロ】ラップからR&B調への急展開もド派手
息を呑むくらいのスピードで
鳴らすスターマイン
釘付けになるド派手さで
スタンバイ さぁ打ち上げろスターマイン/作詞:工藤大輝 作曲:工藤大輝・TARO MIZOTE・サイトウリョースケ
「1番Bメロ」同様、R&B調になる「2番Bメロ」。
とくにラップ調の「2番Aメロ」からつながるとギャップが激しいというか、まさに「息を呑むくらいのスピード」で繰り出された「釘付けになるド派手さ」といえるでしょう。
これこそDa-iCEの「スターマイン=ヒット曲を連発する方法」ですが、やはり花火の打ち上げ方法「スターマイン=速射連発」にもかかっているところが秀逸です。
【ラスサビ】急展開!スターマインは人生賛歌だった
真っ暗な空を照らす
命の火花散らそう
悲しみも吹き飛ばす
最大火力で
さぁ打ち上げろ上がって がって 合点
でもね たまにゃ
下がって がって ガッデム
三度目の正直なんて無い
四の五の言うなよ
もう一回上がって がって 合点
でもね たまにゃ
下がって がって ガッデム
三度目の正直なんて無い
四の五の言うなよ
ロクデモナイ
人生は七転び八起き
急展開スターマイン/作詞:工藤大輝 作曲:工藤大輝・TARO MIZOTE・サイトウリョースケ
「サビ」が繰り返された後、ギターの間奏に続く「ラスサビ」。
唸りで始まる「一発じゃ~」の「サビ」前半が、ひと際しっとりとしたR&B調の「真っ暗な~」となり、「命の火花散らそう」という人生賛歌に昇華されます。
しかも、これまで「ロクデモナイ」と「6止まり」だった数え歌が、最後に「人生は七転び八起き 急展開」と「7~9」まで畳みかけられる結末。
「頭サビ」では「下ネタ?」とハラハラした人も、花火のように打ち上がるDa-iCEの音楽活動に唸るしかなく、リスナー自身の人生を謳歌したくなったのではないでしょうか。
「タッタラタラ~」のコーラスで締めくくられるラストもクールです。
おわりに
Da-iCEのファンにとっては、ストレートにかっこいい「CITRUS」路線が本道、「スターマイン」は変化球の脇道に思えるかもしれません。
しかし「スターマイン」はネタ曲と勘違いされるかもしれないぎりぎりのラインを攻めた、音楽的におもしろい楽曲といえるでしょう。
どうやらKing Gnuとは関係がなかったようですが、音楽的なおもしろさという共通点を見出す人もいるのではないでしょうか。
- rockinon.com:Da-iCEが明かす“スターマイン”制作秘話。さらなるヒットを生むために、5人が立てた戦略とは?